今日は大船。
庄司紗矢香姫♥のリサイタル。
東京での公演日程がハーンとダブってしまっていたので諦めていたのですが、鎌倉芸術館でのリサイタルがあると知って勇んでチケ購入(10月24日)したわけですが、案の定出遅れです。
…が、かなりいい席が空いていましたよ。15列目の中央ブロック。音響的に期待できそう…。楽しみです。
13時に家を出て13時15分発の快速で大船に向かいます。
グリーン車でいつものように弁当でも、と思ったのだが、ここのとこ、またお腹がいけない。食欲ない。体調悪いな。食べないから余計体調悪いんだろう。医者行くと点滴打たれたりするし、やっぱ無理してでも食う。駅のコンビニでおにぎりを2個、自販機でコーンポタージュを買った。
食後の薬をきちんと飲んで、しばし車窓のパノラマを楽しもう。
今日はいい天気だ。品川から地上に出ると燦々と差し込む陽光に季節を取り違えそうな暖かさを覚える。しかし外は強風。木々が大きく吹き揺り動かされ…。
ん…? なんか電車止まってるぞ。湘南新宿ラインが遅れているので通過待ちだとか。…いやな展開。間に合わないなんてこと…。予定では開演の40分前に到着予定なので大丈夫だとは思うけど…。
…。大船には14:20に着きました。
庄司紗矢香 ヴァイオリン・リサイタル
庄司紗矢香(v)/イタマール・ゴラン(p)
2009/01/10(土) 15:00~ 鎌倉芸術館大ホール
素晴らしいリサイタルでした。
プログラムのセンスが抜群にいいですね。
シューベルト、ブロッホ、休憩挟んで、庄司さんの委嘱作品、ドルマンのソナタ、最後がベートーヴェンのソナタ7番。
今日の決め手はブロッホだった。ブロッホ好きなんだけどめったにプログラムに乗らない。好きな庄司さんが好きなブロッホをやるというので決めたのだっけ。
最初のシューベルト、ヴァイオリン・ソナティナ第3番。たぶん初めて聞く曲。釘づけになりました。気難しくなくキャッチーなメロディーのチャーミングな曲でした。1、2楽章、音が来ないなあ、と聴いていたのだけど、3楽章の前にチューニングを直して、その後はものすごいきれいな音でエレガントな曲を聴かせてくれました。3、4楽章は心にビンビン響きましたよ。なんでしょう、チューニングのせい?ってことはないよな。大体、どんなコンサート行っても最初の数分間耳が慣れない。聴覚のフィルターがエージングされるまで時間がかかるのかな、オイラ。
その後は庄司さんの絶妙な演奏に圧倒されっぱなし。
庄司さんの音はやはり素敵です。私が生で聞いたことのあるヴァイオリニストの音の中でナンバー1かもしれない。以前の弱々しさはなくなり、儚さを湛えつつも芯の太い、深みある音を聞かせてくれます。
古典と現代曲をミックスしたプログラムは音楽的発見も多く聴き飽きない。庄司さんはヴァイオリンが発することのできるあらゆる音を使い分けているかのよう。音楽の持つ個性や主張、深い芸術性と楽しさ美しさを表現してくれます。とにかく、どの曲も演奏が終わると演奏者もこちらもニコニコの笑顔になる、そんな、音楽って人を幸せな気分にしてくれるんだな、って再認識できるリサイタル。
先日聴いたヒラリー・ハーンが鉄仮面のように表情を変えず淡々と弾くのに対し、庄司さんは(その辺も大好きなのだが)ボディアクションも大きく表情豊かに弾くタイプ。2人とも音がとてもいいし音楽のニュアンスも素晴らしいのだけど、庄司さんは表情やアクションを弦の音に変えてヴァイオリンの音色に重ね合わせてしまう、そんな魔法を持っているような気がする。
そしてなんといっても、どんな小さな音でも、どんな速いパッセージでも一音たりとも流すようなことなくしっかりと音を刻む、その集中力、表現することへのこだわりに庄司さんの真価があるのでしょう。
♪
1曲目が終わってピアノ奏者を確認する。イタマール・ゴランさん。素晴らしいピアニスト! 今日初めて生演奏聴きましたが、あのピアニズムにはやられました。まず音が抜群によいし、リズムセンスもよい。2拍目以降に微妙にディレイをかけるようなセンスがすごくて、音楽に気品と魅力的なニュアンスを加えます。わお!ブラヴォーですよ!
特にその特徴が出たのはブロッホのリズムと、ベトベンのリリックな響き。あまりの麗しいピアノに引き込まれます。ため息ものです。
ヴァイオリン・ソナタ、あるいはヴァイオリンとピアノのためのソナタはこうでなきゃ。弦と鍵、お互いに双方の音楽を高みへと導く、芸術性の融合、聞き手に届く音はそれはもう素晴らしいものであります。
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お待ちかねのブロッホのヴァイオリン・ソナタ第1番も素晴らしい演奏だった。
すんごいです。いい曲だし庄司さんの良さ、儚げなニュアンスを伴った倍音が美しく響き渡る(どんな小さな音でも!)レガートや、歌心、リズムの切れ、テクニックすべてを満足させる曲。庄司さんの現代曲はクールになりすぎず(といってもブロッホですから無機質な音楽ではありませんが)エレガントな歌の響きを持った音楽。ゴランさんのピアノもバツグンの音楽性。興奮しました、感動しました、楽しみました、ブラヴォーです。
そういえば、ブロッホの演奏のためにステージに出かかった庄司さん、何かを忘れた、と勘違いでもしたのでしょうか、急に足を止めて、また思い直して歩を進める、なんて場面がありました。会場からは暖かい笑い。微笑ましいです。
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後半。
庄司さん委嘱曲、ドルマンのヴァイオリンとピアノのためのソナタ第2番(このリサイタルシリーズのための新作)は2楽章のショートピース。とっても短い曲でしたけど、庄司さんの一番いい音を集めたような曲でした。
そして最後のベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第7番。これもシューベルト同様、キャッチーな旋律をフィーチャーした、自然に心躍るような演奏。あまり芸術然とした演奏ではなく、庄司さんの演奏では眠くなりません。細かいところまで音を大切にした演奏で、切れがあるけど柔らかい、美しさと楽しさ、高い音楽性を合わせ表現しています。まさにアーティストであり、ミュージシャン、そして超一流のプレイヤーだと証明するような演奏でした。こちらもゴランさんのピアノは素晴らしい音楽性で、二人の作り出す音楽はまさに名演という感じです。
ブラヴォー!
会場の拍手鳴りやまず、アンコールは4曲。
最初の1曲は庄司さんが曲紹介。「エルガーの愛のあいさつを弾きます」。
美しい演奏でした。
その後の2曲は聞き覚えのある曲だけど曲目知らず(^^; ゴランさんが「もっと弾きなよ」みたいな目配せをして庄司さんを促すのでした。
最後の曲は聴いたことない。エレガントなメロディーのリリカルな曲調ですが、演ってることは徹頭徹尾高等テクニックみたいな変わった曲。巧い人が弾かないと様にならない曲ですね。
庄司さんははんぱねーテクニックで今日のすべての曲を弾ききりました。
♪
そういえば座席。
大きな期待に反して、なんと…ダブルブッキングでした…。
オイラが座って演奏を待っていると、オイラより年配のお姉様がやってきて、ここは私の席だという。
…まさかオイラにそんな事態が襲いかかるとは…。
しょーがないので、おねーさまと2人で客席案内係みたいな女性に事情を話すと、とにかく着いて来いと…。
鎌倉芸術館って都内の民間のホールと違って、やたら広いのよね。長い長い廊下を通って、階段下って1階の入口、当日券売り場まで連れて行かれた。
なんじゃ、この対応。
普通、客を待たせてホールの係員が走り回って対応するもんじゃないの?
…って怒っちゃいましたよ。思わず。
ダブルブッキング相手のお姉様は「発売当日にここに来て買ったのだから間違いない」と主張されるので、チケット購入出遅れ組のオイラが空いてる席に移ることに。
2列ほど前ですが、下手側に大きくずれた席です。チケットには「御招待」なんて書いてます。(^^;
この席だとピアニストの姿は庄司さんに隠れて見えません。右向きに舞台を観るので、ガチャ目のオイラはうまくピントが合わないの。しかも開演間近の出来事だったので、長い長い移動の息切れが残ってます。せっかく早く着いて息を整え終わったところだったのに…。ま、最初からこの席しかなかったと思うしかないね…。
でも、その後のとてつもなく素晴らしい演奏、いい音楽でそんな現実は忘れ去りました。
いい日、温かい冬の一日でした。
今日明日休んで月曜は仕事です。
♪
(1/11追記)
昨日のアンコール曲が鎌芸のブログで発表になっていた。
■エルガー:愛の挨拶
■クライスラー:おもちゃの兵隊の行進曲
■チャイコフスキー:感傷的なワルツ
■クライスラー:ウィーン奇想曲
チャイコの感傷的なワルツの曲名も思い出せないとは、かなりキテルね。オイラ。