向上心がないのである。会社では各種資格取得を奨励しているのだが、なかなか取ろうという気が起きない。勉強嫌いだし。
懲りない奴、でもある。忘れた頃に同じ失敗を繰り返す。調子ノリ。病気もそうだね。なんで病気ばっかするかね。
昨日、金曜に退院。来週PETなる検査をし、再来週診断を下されるらしい。はあ~。いやんなるなあ。
気晴らしにコンサートを聴きに晴海に向かう。
クアルテット・エクセルシオ
ラボ・エクセルシオ 20世紀・日本と世界II
2009/01/31(土) 18:00~ 第一生命ホール
Quartet Excelsior、桐朋の学生時代に結成して以来15年目の日本人弦楽四重奏団。エクセルシオールとは常に上を目指すという意味らしい。素晴らしい…。
ラボってくらいなので、実験室ですか、研究室ですか。向上心ですよ。
プログラムは前半ウェーベルン、後半は間宮芳生の弦楽四重奏曲プログラム。
とんがってます。お客の入りはさすがに満席とはいかず。
でも大正解のコンサートでした。
正直、ウェーベルンもマミヤミチオもほとんど聴いたことがないのですが、面白いプログラムでした。
アントン・ウェーベルン
- 弦楽四重奏曲(1905)
- 弦楽四重奏のための5つの楽章 op.5(1909)
- 弦楽四重奏のための6つのバガテル op.9(1913)
- 弦楽四重奏曲 op.28(1938)
-休憩-
間宮芳生
- 弦楽四重奏曲第1番(1963)
- 弦楽四重奏曲第2番「いのちみな調和の海より」(1980)
前半ウェーベルン。
1曲目は美しいところのたくさんある、現代曲の入門編といった感じのメロディアス(部分的に…)な曲。
ボクが気に入ったのは2曲目のop.5。これはいい曲。美しく、エキサイティングで、ダイナミックな構成。音楽的に楽しめる曲。
op.9は意味不明…(^^; 1曲1曲がめちゃくちゃ短い。音楽的な面白さを感じる前に終わってしまうような、肩すかし?的作品。
op.28はウェーベルンのイメージ通り、難解な曲。大きなスケール感は感じたけど、イマイチ好きじゃない。
休憩はさんで後半。
間宮芳生さんの作品はメチャ面白い! 気に入りました。
1曲目の第1番。音楽的な仕掛けがたっぷり入って楽しめる曲。
プレトークで解説されていたのだが、それによると第1楽章は「地獄絵」だそうだ。そこから想像したのは「おぞましい恐怖の曲!」って感じだったんだけど、そうではなく、美しさも感じられる曲だった。
恐怖の曲というと、昔、クロノスカルテットのブラック・エンジェルスだったかな、そんなアルバムを買ってきて、あまりの恐怖に途中で止めて、以来20年も封印しているCDがあって、間宮さんの1番1楽章がそんなだったらどうしよう、と身構えていたのだが、よかった…。他に怖くて聴けない曲にR.シュトラウスのエレクトラだっけ、って曲もある。
間宮さんの弦楽四重奏曲第1番は、黒田喜夫という人の詩集「不安と遊撃」の一遍「原点破壊」を曲にしたものだという。歌も入れる予定だったらしいが言葉抜きで完成させたという。詩の文言はあまりにおぞましく女性は総毛立つくらい嫌悪するらしい…。読んでみたいとはあまり思わない。
2楽章は能の謡曲のような緊張感ある雰囲気を出したという。確かに。解説聞いてなくてもそれはよく分かる。
…と、ここまで聴いていてエクセルシオの演奏が本当に凄いと、認識する。個々人の演奏技術は先日聴いた庄司紗矢香やヒラリー・ハーンのようなレベルではないのだが、4人の合奏能力の高さは凄まじくレベルが高い。
特に、間宮の音楽はリズムやテンポをピシッと揃えるのがとても大変そうな、聴く方は楽しい仕掛けがたくさん入った面白い楽曲。弾く方は大変そうな曲なのだが、エクセルシオの4人は「どうしてそこまで揃うんだ!」と感嘆したくなるほどの息のあった演奏。超絶技巧合奏って感じでワクワクしますよ。
3楽章、アフリカの歌、複数のリズムが重なって織りなすポリリズム、チェロはジャズのベースのように軽快にリズムを刻み、とにかくノリのいい音楽で、奇跡のように繰り広げられる合奏のアンサンブルに、ボクの心臓はバクバクと早鐘のように鼓動するのだった。興奮と感動の演奏。
いつまでも心臓バクバク、このまま2曲目に入ってしまうのか?
2曲目、弦楽四重奏曲第2番。
色合いは1番とまったく違うのですが、これも面白い曲。
音楽的には1番の「これでもか!」的なわかりやすい仕掛けは排除されてシンプルに聴こえるんだけど、こめられた音楽的仕掛けはやはり盛りだくさん。
1部は減速するモティーフ、さらさらした液体を混ぜているうちにねばねばになるような物質があると仮定するとそのような減速感、典型はガムランのようなテンポの変化(間宮氏の解説より)ということで、メラネシアのパン・パイプ音楽にインスパイアされて、そのような減速するモティーフの音楽を書いてみよう、ということで作ったらしい。
曲調はガムランとかメラネシアとかいったエスニックな色は全くなく、「減速するモティーフ」という音楽の形を取り入れた、ということのようだ。ガムランのように脳内で麻薬が構成されるようなハマリ感は全然感じない、現代的なロジカルな弦楽合奏曲。間宮氏の音楽は、とってもよくできていて、4人で演奏することを前提に4つの音の出方、残り方、なんというか、本当に効果的なんだな、ウェーベルンなんかより。
2部は「即興的な音楽」(楽譜の段階で完全にできあがっている音楽ではなく、演奏する現場で作り上げていく音楽)を意識した作りだそうで、ものすごいマニアックな曲。プレトークで司会者が「簡単そうに聞こえるけどメンバーは一番演奏が大変と言っていた」と言っていたが、「簡単そうに」は聞こえないよ(^^; すげー! これぞエクセルシオの超絶技巧合奏だ!って感じの、見ていて、じゃない、聴いていてワクワクするような素晴らしい合奏。それをいうなら「軽やかに弾きこなしている」って言うんじゃない? 間宮氏も「そう聞こえなくては困る、それだけの演奏を要求する曲」と言っておられた。
3部は泣き歌。スカンジナビア半島の葬儀で歌われる民謡から発想されたそうだ。これは、弦楽四重奏曲第1番が好評で、NHKから新作を委嘱された際に、お世話になった方へのレクイエムとして作ろうと、つまり第2番のメインテーマとして3部があるという感じなのでしょうか。
緩やかで静謐な楽想。しばらく、ノンビブラートで民族音楽風のメランコリックな音楽が奏せられ、次の繰り返しでビブラートが加えられる。素朴な哀歌がどんどん歌に感情を込めた表現に変わり、音楽を奏する者の心の中の死を悼む気持ちの高ぶりが感じられる素晴らしい音楽。心に染み、感動の一言。
…。とにかく、間宮さんの音楽はいい。そしてそれはエクセルシオの演奏能力が高いからこそ真価を発揮したのだと思う。
ブラーヴォー。
帰りにCDを買った。
こちらもマニアックなプログラム。録音もいい。
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